Interview

SCHENGEN代表 澤⽥修司
日本茶のあるライフスタイルで、
ファッションのように
お茶を楽しむ日常を。
空間や、そこに流れる時間。
日本文化の真髄を継承し、届ける。
SCHENGENの事業を教えてください。
「日本文化をアップデートし、新たな価値観の創造へ」をビジョンに掲げ、日本茶ブランドの企画・販売事業や、畳を使用した日本初の和の保育園の運営を行なっています。
ビジョンの背景には、どのような想いや経験があったのでしょうか。
実家が畳屋でして、幼い頃から日本古来のよきものや、それを創る職人の方々と触れ合う機会が多かったんです。品質にこだわり抜き、丹精込めて作られたものに触れることが多く、日本文化の魅力を肌で感じてきました。親がよく家でお茶を淹れており、小さい頃から自分もそれを飲んでいたのですが、昔ながらのお茶だったようで、ペットボトルのお茶を初めて口にした際、強烈な違和感を感じました。味や風味が全く異なるものだったんです。それが、日本で古くから継承されてきた文化や、品質の良い工芸品の価値を再認識するきっかけとなりました。
幼少期から日本文化に触れてこられたのですね。澤田さんの思う、日本文化の魅力を具体的に教えてください。
「もの」の品質が高いことはもちろんですが、「もの」を取り囲む「空間」や、そこに流れる「時間」にも価値があると思っています。茶道、華道、書道などの「道」という言葉が示すように、その空間の中で心を集中させ、五感を研ぎ澄ませ、さまざまなものを感じる。その豊かさこそが、日本文化ならではの魅力だと感じます。
なるほど。ものだけでなく、空間やそこに流れる時間にも価値があると。
僕は毎朝一杯のお茶を淹れ、花を生けてから一日をスタートさせています。その時間は、何か他の考え事をしているわけではなく、目の前の空間に集中し、時間を楽しんでいます。そのおかげで、自分の体や心が良好に保たれ、日々エネルギッシュに活動できています。他の時間は仕事や子育てで忙しいので、この朝の時間は僕にとって必要不可欠なものとなっています。
日本文化の真髄をご自身で味わっているからこそ、想いがあるのですね。
まだまだ真髄を味わえているか、は分かりませんが、、、(笑)これだけ長い歴史の中で、固有の文化が形成され、受け継がれてきたものは日本文化以外に存在しません。世界で見ても考えられない永さだと思います。そのような事実も、この文化を継承したいという想いに繋がっています。
初年度から数千万規模の投資。
複数の事業を手掛け、本命のお茶事業へ進出。
起業の経緯を教えていただけますか。
大学時代から、自分で事業をやりたいという想いを持っていました。大学時代はバックパッカーで海外にもよく行っており、そこで現地の方と交流したり、ゲストハウスを利用していたという経験があり、自分でゲストハウスを運営したいなと考えていました。しかし最初に数千万の投資が必要であることと、一度は企業で働いてみたいという考えから、新卒で大手広告代理店に入社しました。その後24歳の時に独立し、ゲストハウス事業をスタートさせました。
ゲストハウス1店舗目のオープン時
ゲストハウス1店舗目のオープン時
初年度の業績はどうでしたか?
僕がゲストハウスを始めた頃、ちょうど外国人旅行者が増え始めたタイミングで、世間の時流に救われ、一年目から稼働率98%を叩き出し黒字化できました。ただ、当時はタイミングが良かっただけで、その後キャッシュ面で苦労することも多かったです。現在ゲストハウス事業は別法人にて複数店舗の運営を続けています。

その後、自分に子供が生まれたことをきっかけに、保育園の企画・運営も始めました。日本で初めてとなる「畳での保育」をコンセプトとしています。建物も日本古来の天然素材を使用するなど、幼少期から日本文化に触れることで日本人としてのアイデンティティーを育めるように工夫した「いづる保育園」です。現在は大阪の上本町と京都で運営をしています。
いづる保育園 外観
いづる保育園 外観
ゲストハウスや保育園といった事業を手掛けられた後に、お茶の事業に進出されたのですね。
はい。起業前からお茶事業への想いはあったのですが、ビジネス的に簡単ではないだろうと感じており、タイミングを見計らっていました。本格的に着手したのは、2018年からです。
お茶の魅力は「完成されない」こと。
ファッションのように、日常を彩るものとしてお茶を楽しむ文化を創りたい。
澤田さんが考える、お茶の魅力を教えてください。
一杯のお茶でも、茶葉の成分、栽培方法、製造過程、水の質、淹れる温度などによって味が変わるんです。甘み、苦味、渋み、うまみと言った味わいから、色、香り、風味まで、それぞれ全く異なります。一杯たりとも同じお茶はありません。お茶は永遠に「完成されない」んです。それがお茶の魅力です。
完成されないというのは非常に面白いですね・・!現在はどのような事業を行っていますか。
現在は茶葉の卸業を行っています。卸先は国内外問いません。海外ですと、パリやニューヨークなどのお店、そして国内だと有難いことに予約が取れないほど著名な店舗にもご利用いただいています。
そんな有名店まで、凄いですね!お茶の提供を通して、どういう世界を実現したいと考えているのでしょうか。
お茶を、ファッションのように日常的に楽しんでいただきたいと思っています。お茶は昔、高貴な方々の遊びとして親しまれていました。ただ喉を潤すだけでなく、一人ひとりが自分に合ったスタイルを見いだし、楽しみ、気分が上がったり、心が落ち着いたり。そんな、日本茶のあるライフスタイルを実現したいな、と。ファッションの一つという意味では、パリコレのようなファッションウイークで、お茶を嗜む風景を作り出したいとも考えています。
パリコレでお茶、とても素敵です。日本人としても嬉しいですね。
最近は海外で日本茶のブランド価値が非常に上がっているので、可能性は十分にあると考えています。
日本の人々が、本物のお茶に出逢う入り口として。
1号店となるBys Tea(バイスティー)
日本での事業展開を教えてください。
海外にも力を入れますが、一方で日本の方々にも、自分たちの文化が受け継いできたお茶という存在を、より身近に感じ楽しんでいただきたいと考えており、大阪にBys Tea(バイスティー)という店舗1号店をオープンする予定です。
どんなお店にされる予定でしょうか。
今の日本では、お茶を身近で楽しむ文化や機会が減っています。そんな中でも、人々にとってハードルの低い、日本の美意識や和の心が表現されるお茶屋さんを作りたいと考えています。お茶を身近に感じていただけるよう、真髄はそのままに、スタイルは現代にアップデートした形で提供する予定です。ファッショナブルな日本茶の世界を実現し、そこで本当のお茶の味を知った時、「ライフスタイル」に昇華してもらいたい、そんな想いでお店を作っています。
Bys Tea(バイスティー)のコンセプトは何でしょうか?
「水墨 -黒と白の世界に宿る色-」をコンセプトとしています。水墨画と聞くと、みなさん白黒の単色で構成された画を思い浮かべると思いますが、実は多くの作品で「色」が使用されており、それが「有彩水墨」です。この店舗は黒を基調とし、余白の部分は白、さらにお茶=緑が入ることで、三色で構成される空間を「有彩水墨」とし、デザインや空間づくりにこだわっています。
Bys Tea(バイスティー)店舗完成イメージ(外観)
Bys Tea(バイスティー)店舗完成イメージ(外観)
茶葉は、「茶師」というお茶の専門家の目を通して弊社独自ルートで仕入れ、茶器は大量生産品ではなく、作家ものを使用します。 メニューや味も、お茶の真髄はそのままに、形は現代へアップデートし提供する予定です。黒基調ということで、お茶を楽しむ、ただそれだけにフォーカスできるよう空間設計をしています。店内は暗めに設定しているので、その中で五感を研ぎ澄まし、ぜひ本物を感じていただきたいと思っています。
ふたつとして同じものはない、お茶という存在への入り口をBys Tea(バイスティー)で提供し、それをどう楽しむか、自分なりにカスタマイズするかという余白の部分は、お客さまの自由です。
ファッションも人それぞれ好みがあるように、お茶も自分に合ったスタイルで楽しんでいただきたいということですね。
はい。水墨画は黒で書かれた部分に注目が集まりがちですが、白という余白の部分にこそ遊びがあると思うんです。
それはどういうことでしょうか。
黒の部分はもう決定されてしまっていて変えられないけれど、白の部分は真っさらで何もない状態ですよね。そこに何を想像するかは、個人の自由です。作者はこういうことを描きたかったのかなとか、自分ならこうするな、など簡単なことでいいんです。そういったところに人間のクリエイティビティや遊びがあると思っています。それと同じように、お茶の楽しみ方も人それぞれで、自分なりの遊び方をしていただきたいなと。
なるほど、黒だけでなく白にフォーカスしても面白いと。
はい。Bys Tea(バイスティー)でお茶の楽しみ方の入り口を経験いただいたお客さまには、一層奥深いお茶文化を味わっていただけるような2号店の構想もあります。まだ私の頭の中だけですが(笑)ヒントだけ言うと、次は逆に余白にフォーカスした店舗にしようかと思っています。
1店舗目の構想だけでもワクワクするのに、次の店舗まで構想されているんですね!
1号店は大阪の南船場四丁目にオープンする予定です。このエリアは、大阪発のデザイナーズショップや個人オーナーが独自のスタイルを提案するカフェやサロンなど、個性溢れるお店が多いので、Bys Tea(バイスティー)もしっかり個性を発揮し、街に彩を添えられるような店舗にしたいですね。

アイデアやデザインはクリエイティブにして人々に興味を持っていただき、提供するのは、現代社会で失われつつある日本文化に基づく選択肢を増やすことです。選択肢の数を増やすことで、個人の自由度を担保し、人生や社会における豊かさに貢献できたらと考えています。
パリやニューヨークでの事業拡大も見据え、
事業責任者となるプロジェクトマネージャーを募集。
※インタビューは2020年3月初旬時点の情報です。
ビジネス面での戦略を教えてください。
日本と海外で異なる戦略を持っています。海外では現在日本茶のブームが来ているので、それをチャンスと捉えており、販売を強化していく予定です。卸はもちろんですが、弊社商品のブランド価値を高めるために、パリやニューヨークなどトレンドを発信する街で旗艦店をオープンしチャレンジしたい、と思っています。ブランド価値を高めた後は、東南アジアなどのエリアにもフランチャイズで店舗展開していきたいですね。

一方、日本ではお茶への評価が高まるまでにまだ少し時間がかかるかと想定しています。東京ではサードウェーブティーの波が来始めているので、南船場にオープンする1号店をはじめとして今は文化形成のフェーズと捉えています。そのため、人材面も強化を図ります。
どのポジションで採用したいと考えていますか?
お茶に関する事業のプロジェクトマネージャーのポジションです。今後弊社の中心メンバーとなっていただける方を探しています。

そのため、弊社のビジョンや事業コンセプトに深く共感でき、かつ事業全体を俯瞰し推進していく経験やスキルのある方に来ていただきたいです。
その方は今後経営にも携わっていくことになると思いますが、SCHENGENや澤田さんが経営面で大切にしていることも教えてください。
会社を経営していくには売上や利益の確保が必要になりますが、そこをメインに据えるのではなく、自分たちが純粋に面白い、楽しいと感じることをやり続けていきたいと考えています。そういう考えが根底にあって、その上でキャッシュ面を安定させるという順序で考えているので、そのスタンスで事業や仕事をエキサイティングに楽しみたいと考えている方がフィットすると思います。
株式会社シェンゲンでは、一緒に事業を牽引していただける仲間を募っています。
世の中に新しい価値を作り出すことにやりがいを感じる方には、存分に力を発揮できる環境をご用意できるはずです。代表・澤田のインタビューを読んで、少しでも興味をお持ちになられたら、ぜひ採用情報を併せてご覧ください。
人材採用のお知らせ